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最終更新日 2024年12月28日 by oundgu

馬と人との絆を、さらに深く、そして心地よいものにするための要素はいくつもあります。
その中でも「馬着」は、馬にとっての衣服であり、また人間が作り出す“快適空間”のひとつの象徴といえるでしょう。
私はもともとスポーツウェアの素材開発を手がけてきましたが、その知見を乗馬用品へ応用する過程で、「人と馬が互いに快適であることの大切さ」を改めて実感しました。

実は、馬着とスポーツウェアには多くの共通点があります。
吸湿速乾や保温性など、近年の高機能素材が持つパフォーマンスは、寒暖差の激しい馬場でも力を発揮するからです。
本記事では、そんな異業種から乗馬用品に飛び込んだ私の視点を交えながら、馬着の選び方や素材開発のポイントをご紹介していきます。

では、早速見ていきましょう。
ここで得られるのは、馬着に関する「機能性と快適性の裏側」だけでなく、馬と人がともに過ごす空間を快適にするためのヒントです。


快適な馬着の基本機能とは

吸湿速乾や保温性:機能性素材がもたらす利点

寒い季節や、雨が降った後の冷え込みが激しい時期には、馬の体温保持が重要になります。
そのため、保温性に優れた素材や、内部の湿気を外へ逃がす吸湿速乾性が求められます。
この点はスポーツウェアの開発とまったく同じで、汗や熱を効率よくコントロールする技術が体温調整の鍵を握るのです。

  • マイクロファイバーを使った高い保温性
  • 表面に撥水加工を施した雨天時の快適性
  • 馬体に直接接触する内側生地の滑らかさと吸水拡散性

こうした要素は、まるでランニングウェアやスノーボードウェアと同じ原理を持ちながら、馬用に最適化されていると捉えるとわかりやすいでしょう。

サイズ・形状設計の重要性:馬の体型を考慮したフィット

馬着はただ大きければいいというものではありません。
馬の動きを邪魔せず、かつ背中や腹部、肩回りなどの主要部位をしっかり覆う形状である必要があります。

1) 馬の胴長に合わせた長さ
2) 肩や胸板の厚みに応じたゆとり
3) 尾部や首元のズレ落ち防止構造

これらは一見当たり前のようですが、実際には馬の体型は個体差が大きく、乗馬目的(競技用、外乗用など)によっても最適な裁断は異なります。
身体にフィットした馬着を着用することで、馬のストレスを軽減し、皮膚トラブルや筋肉への負担を抑えられるのです。


素材選びの観点:テキスタイル技術の活用

織り構造や染色技術による快適性向上

織り構造を工夫することは、素材の通気性や強度に直結します。
例えば、布地の目を二重にするダブルフェイス構造は、表と裏で異なる特性を持たせることができ、外側は撥水性、内側は吸湿性といった組み合わせが可能です。

→ 通気性を確保しながら雨風を防ぐ「密度差織り」
→ 馬着が重くならない「超軽量織り」

染色技術の面でも、近年はナノレベルで色素を繊維に結合させる方法が注目されています。
馬着は屋外で使用されるため、色落ちせず耐久性もある染色技術が必要です。
これらはテキスタイル産業全般に共通して言えることですが、「馬のため」という視点で改めて最適化を図っているケースが増えています。

抗菌・防汚加工が実現する清潔で安全な環境

馬場での汚れや汗を想像すると、やはり抗菌・防汚加工があるかどうかは注目すべき点です。
馬は汗をかきやすく、土や砂ぼこりの上を移動するため、従来のアパレル以上に汚れがつきやすい状況にあります。

  • 抗菌加工による雑菌の繁殖抑制
  • 防汚コーティングによる汚れの付着防止
  • 帰厩後のメンテナンスが楽になるメリット

こうしたプラス要素は、実際に馬を扱う現場では大きな負担軽減となります。
特に抗菌性能を有する素材は、馬の皮膚を健康に保つのにも有効です。


馬と人がともに感じる快適性の要因

馬の生体力学から見る馬着のフィット感

馬の身体は大きく見えて、実はすこぶる繊細です。
長時間にわたるライディングや複雑な動作を行う際、サドルや馬着がどのように身体に接触しているかは、馬に大きな影響を与えます。

◆ 肩甲骨の可動域を妨げないパターン設計
◆ 馬の背骨に余計な圧力をかけないフォーム
◆ 疲労度や発汗量に応じた素材の伸縮性

馬の動きを理解したうえで素材選定やパターンメイキングを行うことは、ライダーにもメリットがあります。
ストレスを感じない馬は動きがスムーズになり、ライダーがより安定した姿勢を保ちやすくなるからです。

「馬の動きはまるで生きた織物のように連綿と続いています。
その優美なリズムを邪魔しない馬着選びが、ともに心地よい時間を生み出します。」

手入れのしやすさと耐久性:ライダーの負担軽減

馬着は馬体を守る一方で、ライダーにとってはメンテナンスが欠かせないアイテムでもあります。
毎回の汚れや毛の付着を落とすのに手間がかかるうえ、馬着自体の劣化が激しいと買い替えコストも高まります。

そこで、素材選定や加工技術が重要になってきます。

1) 洗濯機対応の耐久性
2) 毛や泥が絡みにくい表面構造
3) 乾きやすい繊維配合で、連日使用も安心

特に洗濯機にかけられるかどうかは、現場での使い勝手を左右する大きなポイント。
ユーザーインタビューでも、「手洗いは正直大変」という声が多いため、簡単に丸洗いができる素材は重宝されるのです。


乗馬用品の進化と伝統工芸の可能性

異業種コラボレーションで生まれる新素材

私が乗馬用品開発に携わるうちに感じたのは、スポーツウェアやアウトドア用品と共通する技術領域がかなり多いことでした。
今やナノテク素材や新しい撥水加工など、さまざまな機能を持つ布地が登場しています。

もし、乗馬用品をお探しの方は、日本最大級の専門店「JODHPURS (ジョッパーズ) 乗馬用品・馬具&ライフスタイル」で豊富なインテリアや雑貨まで幅広くチェックしてみてください。
送料無料や返品無料、ヨーロッパ直輸入の最新アイテムなど、馬をテーマにした多彩なライフスタイルをトータルに提案してくれます。

  • 生地メーカーとの連携:高機能糸を使った三層構造の開発
  • 科学研究機関との協力:防蚊素材やUVカット素材の実験
  • 他ジャンル企業とのコラボ:ファッション性と実用性を両立

こうしたコラボレーションは、まさに「馬と人の快適性」をテクノロジーで支えるための結集とも言えます。
プロスポーツチームの練習着開発で培われた知見が、乗馬用品へダイレクトに転用される例も増えてきました。

図解:新素材の多層構造イメージ

   ┌───────────┐
   │   表地(撥水層)    │
   │      +強度+         │
   ├───────────┤
   │ 中間層(吸湿拡散層)│
   │   +保温/通気+       │
   ├───────────┤
   │   裏地(抗菌層)    │
   │   +肌触りの良さ+    │
   └───────────┘

このように、各層で異なる機能を組み合わせることで、より高い快適性が期待できます。

日本の織物文化を活かした独創的な馬着づくり

日本には古くから発展してきた伝統工芸があります。
たとえば、近江や西陣、丹後などの織物文化に代表されるように、地域ごとに優れた染織技術が息づいています。

◆ 熟練職人による糸の扱いの巧みさ
◆ 伝統的な模様や色合いを活かしたデザイン
◆ 和装に由来する軽くて丈夫な仕立て技法

これらの要素を馬着に取り入れることで、機能面だけでなく芸術性や文化的価値も備えた乗馬用品を生み出せるのではないか、と私は考えています。

例:伝統工芸と乗馬用品の比較表

要素伝統工芸の技法馬着への応用
糸の加工・撚糸技術高い耐久性としなやかさ馬の体型にフィットし、傷みにくい
柄の表現・意匠設計複雑な絵柄や複数色の織り分け馬着を文化的アイコンにまで高める可能性
防水・防汚加工との併用近代技術との組み合わせ和柄デザインと高機能素材のハイブリッド

このように、日本の伝統織物は機能美だけでなく、文化を宿す“布”そのもの。
それを馬着に活用すれば、「世界でただひとつの馬着」が誕生するかもしれません。


まとめ

人と馬がともに快適に過ごすためには、素材や形状、さらにはメンテナンスのしやすさまで、さまざまな観点から馬着を選ぶ必要があります。
スポーツウェア開発の経験から言えるのは、機能性素材を活用すれば、季節を問わず快適さを維持する馬着を実現できるということ。

しかし、それだけではありません。
日本に根づく伝統織物や異業種との連携によって、馬着はさらなる可能性を持っています。
技術と文化が融合し、馬具の世界が新たな段階へ進化する姿を想像すると、職人魂がくすぐられます。

  • 吸湿速乾や保温性といった“機能性”
  • 馬の身体に合わせた“フィット感”
  • 抗菌・防汚加工などの“メンテナンス性”
  • そして、伝統工芸とコラボした“独創性”

乗馬用品は、まさにこれらが交わる総合芸術のようなものだと言えるでしょう。
素材開発に携わってきた立場から最後に提言すると、「馬着は馬のセカンドスキン」であるという意識を大切にしてほしいのです。
馬の健康を守り、ライダーの心を満たし、さらには文化を育む。

快適な馬着を追求するその先には、馬と人の新たな関係性が確かにあります。
より深い信頼、より優れたパフォーマンス、そして何より馬と人が笑顔で過ごせる未来が待っていることでしょう。

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